飲み味が硬いのと軟らかい水の差は、どうして生まれるのでしょうか。
「水に硬いとか、軟らかいとかってあるの?」と、不思議に思うかもしれませんね。水の硬い、軟らかいは、手でさわってわかる感じをいうのではありません。水にふくまれている成分の量を表す言い方なのです。
水にふくまれるカルシウムとマグネシウムが少ない水を「軟らかい水(軟水)」といい、多い水を「硬い水(硬水)」といいます。それを「硬度」という数値で表します。
硬度=(カルシウム×2.5)+(マグネシウム×4.1) という計算式で計算します。
いくつ以下が軟水で、いくつ以上が硬水かについては、いろいろな考え方があります。また、最近では、世界各地からいろいろなミネラルウォーターが輸入され、いろいろな硬度の水が売られるようになっているので、分け方にもいろいろありますが、ここでは一般的な分け方を表示します。
硬度 0〜100 軟水
硬度 101〜300 中硬水
硬度 301以上 硬水
日本の水の硬度はおよそ20〜60の間に入り、軟水と呼ばれるものがほとんどです。
ヨーロッパなどの大陸でとれた水は硬度301以上の硬水がほとんどです。
ミネラル成分は、どのようにして水の中に入るのでしょうか。
1)山や大地に降った雨が地面にしみこむ
2)土から、砂と岩の層、さらにその下の
大きな岩の層まで、ゆっくりしみこむ
3)しみこむとちゅうで、岩の成分を少し
ずつとかしながら進む
4)水の中に岩石の成分が少しずつ入る
5)長い時間をかけてミネラル成分がとけこみ、くみ上げられる
カルシウムやマグネシウムは岩石の成分ですが、わたしたち人間の体にも必要な大切な成分になっています。
日本で軟水が多いのは、どうしてでしょう。
山と海が近く、傾斜が急な地形です。大陸の水に比べると、岩石と接する時間が短く、成分が溶け出す時間が短くなるため、成分の少ない軟水になります。
また、火山の活動によってできた場所が多く、地層の多くは主に火成岩でできています。そして多くの火成岩の主成分はケイ酸と呼ばれる物質で、カルシウムやマグネシウムをあまり多くふみません。そのため、硬度の低い軟水になります。
硬水と軟水の性質の違い
★硬水の特徴
洗濯では,石けんの泡が立ちにくく,汚れが落ちにくい。
料理では,肉を煮るときにアクが出やすく,おいしく調理できる。
日本茶は,色や渋みがあまり出ない。
★軟水の特徴
洗濯では,石けんが泡立ちやすく,汚れがよく落ちる。
料理では,豆や野菜や御飯を煮炊きするのに適している。
日本茶は,色や渋みが出やすく,適している。
それぞれの特徴に合わせて、暮しの中で使い分ければ、生活が豊かさを増していくことでしょう。